オーストラリアにおける意匠の審査のプロセスは、審査請求やアクセプタンス期間がある点など、日本の場合と大きく異なる点があります。本記事ではその違いについて説明します。
オーストラリアで意匠権を取得するには、(1)登録および(2)証明の2段階の手続きが必要です。
登録(Registration)
オーストラリアでは、意匠を出願すると方式審査のみが行われます。方式審査では、例えば、六面図が一致していない場合に補正を示唆されることがあります。方式審査を通過した意匠は、登録(Registered)の状態となり、登録証明書(Certification of Registration)が発行されます。
重要な点として、登録意匠はそれだけでは権利行使に使用することはできません。行使可能な意匠権を得るためには、以下で説明するように、登録意匠が実体審査を受ける必要があります
証明(Certification)
オーストラリアで意匠権を行使するには、登録された意匠が実体審査を受け、IP Australia(オーストラリア知的財産庁)によって「証明(Certified)」されなければなりません。
以下のフローチャートは、オーストラリアにおける意匠の実体審査の流れを示しています。

まず、日本と異なり、オーストラリアでは、実体審査の開始には、審査請求が必要です。
実体審査は任意であり、10年間の意匠の存続期間中であればいつでも請求可能です。
実体審査では、意匠が新規かつ特徴的であるか否かが判断されます。審査に当たって、審査官は、出願時に記載する、新規性及び識別性の説明(Statement of Newness and Distinctiveness)によって特定された特徴に特に重点を置き、対象となる意匠を先行意匠と対比します。この新規性及び識別性の説明は、日本における、「意匠に係る物品の説明」や「意匠の説明」にある程度対応するものと考えられます。
なお、オーストラリアには、日本と異なり部分意匠制度は存在せず、それと同等の保護を受けることはできません。しかしながら、保護の態様をできるだけ日本の部分意匠と近づけるために、新規性及び識別性の説明に、保護を求める部分の説明を含める実務が一般的に行われています。
新規かつ特徴的な意匠は、「証明」の状態となり、審査証明書(Certification of Examination)が発行されます。
一方で、新規かつ特徴的ではない意匠には、その拒絶理由を含む審査報告書が発行されます。
最初の審査報告書の発行時に、アクセプタンス期間(Acceptance Deadline)が設定され、この期間を考慮した応答が求められます。アクセプタンス期間は、最初の審査報告書の発行から6か月間です。
アクセプタンス期間内に全ての拒絶理由を解消できなかった場合、登録意匠は取り消されてしまいます。
なお、アクセプタンス期間は、厳密には応答期限とは異なるため、審査報告書が送付されてからできるだけ早く(例えば、審査報告書の送付から1か月以内)応答することが望ましいです。アクセプタンス期間については、こちらの記事もご参照ください。
なお、オーストラリアの意匠出願の全体の動向を見ると、審査請求がされていない意匠の方が多いことがわかります。
以上を踏まえて、戦略的に意匠権を獲得していくことをおすすめします。
オーストラリアの意匠に関して困りごとやご質問がある場合はお気軽にお問い合わせください。


