オーストラリアの商標の実務では、商標出願が先行商標と類似する場合に、先行商標権者から使用の同意を得ることで、当該拒絶理由を克服することができます。日本でも、令和6年4月1日から商標のいわゆるコンセント制度(同意書制度)が開始しました。本記事では、日本との違いに触れながら、オーストラリアにおけるコンセント制度について説明します。
日本では、コンセント制度を利用した商標登録が認められるためには、拒絶理由通知所への応答時に、次の2つの要件を充足する書類を提出する必要があります。
- 他人の承諾を得ていること
- 出願人商標の使用に係る商品・役務と他人の登録商標に係る商品・役務との間で混同を生ずるおそれがないこと。
一方で、オーストラリアでは、①の他人からの承諾を得るだけでよく、②の混同を生ずるおそれがないことについては証明の必要がありません。
オーストラリアでも、日本と同様に、拒絶理由を含む報告書ヘの応答時に同意書を提出することで対応します。この合意書には、先行商標権者から合意を得られた分類と商品および役務を記載することが想定されます。
また、日本では、同意書を提出すれば、必ず拒絶理由を克服できるわけではなく、審査官が出所を混同するおそれがあると判断した場合には、登録査定になりません。一方で、オーストラリアでは、審査官は、同意書を受け入れるか拒否するかの裁量がありますが、実務上、同意書が形式的な要件を満たしていれば、ほとんどのケースで拒絶理由が解消されています。
また、オーストラリアでは、最初に報告書(Adverse Report)が発送されてから15か月以内に全ての拒絶理由を解消しなければ出願が消滅してしまいます。この15か月の期間を超えて追加の時間が必要だと考える場合は、引用商標の権利者と同意を得るための交渉を行っていることを理由に、6か月間の延長(Deferment of Acceptance)を申請することができます。
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