アクセプタンス期間とは
オーストラリアの特許制度には、アクセプタンス期間(Acceptance Deadline)という制度があります。Acceptance Deadlineを日本語にすると、アクセプタンス期間の他にアクセプタンス期限、受理期限、許可期限とも訳される例があるようです。
アクセプタンス期間とは、特許出願が許可を受けなければならない期間です。アクセプタンス期間内に、全ての拒絶理由を解消できなければ特許出願は消滅してしまいます。アクセプタンス期間の最終日は、1回目の審査報告書が発せられた日から起算して12か月後であり、原則、延長できません。したがって、庁通知を取得してからはできるだけ早く応答する必要があります。
事例紹介
以下のケースでは、1回目の審査報告書の発行日である2023年7月13日を基準に、12か月後の2024年7月13日までに、すべての拒絶理由を解消する必要がありました。このケースでは、3回目の応答があと5日遅れていたら、この特許は消滅していました。
注意点
アクセプタンス期間が開始してからは、審査官は、比較的早くに2回目以降の審査報告書を発行してくれる傾向にあるようです。
ただし、これはあくまでもケースバイケースであり、大幅な補正により審査官が追加の調査を必要と判断する場合は次の審査報告書の発効までに時間がかかる傾向にあります。
また、審査官は、アクセプタンス期間の期日から1か月以内に提出された応答に回答する義務はないため、アクセプタンス期間の期日から少なくとも1か月前に応答することが推奨されます。 加えて、3回目の審査報告書は、審査官の上司によってチェックされる必要があるため、それによる遅延が生じる可能性があります。
また、日本と異なり、オーストラリアには、最初の拒絶理由通知や最後の拒絶理由通知、拒絶査定のような制度は存在せず、OAの回数によって補正の制限が変化することもありません。 ただし、発行される報告書の数に制限はないものの、同じ拒絶理由が維持され続け(例えば、2~3回)、進展が見られない場合には、審査官は、出願人に対して聴聞(Hearing)の請求を行うことがあります。
アドバイス
オーストラリアには正式な審査官と面接を行うプロセスはありませんが、審査官に自由に電話をかけて、回答を促したり、審査の内容について話し合ったりすることができます。審査官の中には喜んで話し合いを行う人もいれば、書面で提出された事項のみを検討したがる人もおり、その有効性は、審査官によって異なります。
拒絶理由を克服できそうになく、かつ、特許出願を維持したい場合は、例えば、アクセプタンス期間の最終日までに、分割出願を行うことで特許出願を維持することができます。