日本の特許法の新規性喪失の例外に対応する規定として、オーストラリアとニュージーランドの特許制度には、グレースピリオド(Grace Period)が存在します。以下ではそれぞれの国における特許のグレースピリオドの概要を日本の新規性喪失の例外と比較しながら説明します。
オーストラリアにおけるグレースピリオド
オーストラリアのグレースピリオドについては、オーストラリアの1990年特許法第24条に規定されています。
期間
オーストラリアのグレースピリオドの期間は、日本と同様に、公開から起算して12か月以内です。
対象となる公開態様
オーストラリアでグレースピリオドの対象となるのは、主に以下の態様で公開された発明であり、日本よりも公開を行う主体に関してより細かく設定されています。
- 指名された者、特許権者、またはその前所有権者の同意を得て開示された情報
- 指名された者、特許権者、またはその前所有権者の同意を得ずに、情報を受け取った者が発明を公開したり使用したりすることによって開示された情報
手続き
オーストラリアにおいてグレースピリオドの適用を受けるためには、公開から12か月以内に、オーストラリアに完全な出願(仮出願でない)を行う必要があります。例えば、2024年1月1日に公開された発明について、完全な出願を2025年1月1日までに行う必要があります。
また、オーストラリアにおいてグレースピリオドの適用を受けるためには、審査報告書への応答の際に引用文献をグレースピリオドの適用により除外する旨を主張します。
なお、オーストラリア及び後述するニュージーランドでの手続きでは、日本と違って、出願と同時に適用を受ける旨を記載した書面を提出したり、特許出願の日から30日以内に、公開行為を全て記載した証明書を提出したりする必要はありません。
ニュージーランドにおけるグレースピリオド
ニュージーランドのグレースピリオドについては、ニュージーランド特許法第9条に規定されています。
期間及び対象となる公開態様
ニュージーランドのグレースピリオドの期間は、公開行為に応じて異なります。同法にその詳細が記載されており、ここではその概要を記載します。
- 違法にまたは秘密を侵害することで取得された発明に関する情報の開示(1年)
- 調査の目的で政府部門または政府を代表する者による開示(期間指定なし)
- 特定の展示会での発明の開示(6か月)
- 特許出願前に何らかの方法(印刷物の出版、デモの実施、発明の使用、商品の販売、インターネット上での公開等)で発明を開示(1年)
特に、特定の展示会については、日本やオーストラリアと比較して、期間が6か月しかないことと、コミッショナーが公式に国際展示会または産業展示会であると宣言した展示会のみが対象となる点に注意が必要です。
手続き
ニュージーランドにおいてグレースピリオドの適用を受けるためには、上記の期間内に、完全な出願(仮出願でない)をニュージーランドで行う必要があります。
また、ニュージーランドにおいてグレースピリオドの適用を受けるためには、関連する根拠等を概説した声明をニュージーランド知的財産庁(IPONZ)に提出する必要があります。声明の提出は、審査の前に行われたり、または審査報告書に対する応答の一部として行われたりすることがあります。
また、証拠の形態として、法定宣誓書、宣誓供述書、関連する出版物、関連するニュース記事、関連する通信記録、明確な発行日が記載されたその他の開示情報等が例示されています。
オーストラリアやニュージーランドのグレースピリオドに関して困りごとやご質問がある場合はお気軽にお問い合わせください。


